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幼い時の不思議な出来事-5-

お前は念のため数日入院したが、体には何の異常もなく退院した。
お前は、入院中も、
「お母さんは、お母さんは大丈夫?」
と私に問いかけ続けた。
私は医師とも相談して、あの時死んだのはサクラではなく、お母さんがお前をかばって死んだことにしたんだ。
それ以来お前は、お母さんは交通事故で死んだと思い込んで今日まできたんだ。
父親は、淡々と語りつづけた。

「お母さんは、私が1歳の時に他界し、その後2年間はサクラがお母さん代わりに面倒を見てくれたということになる」
「その通りだ」
「お母さんは病気だったからお前が歩けるようになっても、お前とは散歩に入っていない」
「散歩は私とサクラで毎日夕方行っていたんだ」
「お前がサクラのリ-ドを持って」
「サクラは決してお前を引っ張ることなく、お前に寄り添っていつも歩いていた」
「そのときお前はサクラをお母さんと思い、お母さんに手を引かれて散歩に行っていたと思い続けていたんだ」

私は幼い時の事が少しずつ脳裏に浮かんできた。
寝るときお母さんに抱かれ、お母さんはいつもフカフカで暖かかった。
そのフカフカで暖かかったのは、サクラの体の感触だったんだ。
倒れて怪我をしたときに、サクラは私の傷口をやさしく舐めたのが、お母さんに介抱してもらっていると思い込んだのだ。

おそらく私は、1歳のときにお母さんを無くしたショックから、死んだことを認めたくない気持ちがあり、そこにサクラがかいがいしく自分のそばにいたことからいつしかサクラをお母さんと思い込んでいたんだ。
さらにサクラは、お母さんの事を思い続けることから、私をお母さんの代わりにつくしてくれたんだと。
そう考えれば納得できることであった。

「隆、隆、どうした」
親父の呼びかけでふと我に返った。
「親父、サクラをお母さんと思っていた原因が今やっとわかった」
私は、涙があふれるのもかまわず、親父に言った。
「そうか、やっと分かってくれたか」

「ところで、隆、頼みがある」
親父が真剣な顔つきで一言言った。
「なんだい、急に真顔になって」

私は、お前をかばって死んだサクラに感謝する意味から、サクラの葬式をして、サクラの骨を埋葬するために、事故の現場の道脇に、お地蔵さんを建立して、サクラの骨を収めたんだ。
そして近所の人とともに今まで、祭りつづけてきたんだ。
以来、事故が多かった現場での事故は一切なくなり今に至っている。
「きっとサクラが皆を守っているのだろう」
「いやきっとそうに違いないと自分は確信している」
「わしがいなくなっても、サクラを祭ったお地蔵さんを祭りつづけてほしい」
親父は私に懇願した。

「あの道端にあるお地蔵さんが?」
「そうだ」
「おやじ、分かった、自分を助けて犠牲になったサクラのことは一生忘れない」
「サクラを祭ったお地蔵さんはこれからも私が供養し続けるから」
「それが命を助けてくれたサクラへの唯一のお返しだから」
「隆、ありがとう」
「おやじはまたまだ元気なのに、そんなことを言うのはおかしい」
「いやいや、年をとると先のことは分からないから、元気なうちに頼んでおかないと」
親父は笑いながら私の肩を叩きながら言った。

その親父は、6ケ月後に心筋梗塞で他界した。

続く

theme : 犬との生活
genre : ペット

tag : 犬の生活 幼い時の不思議な出来事

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