『お父さんが帰ってきた!!』
『ワン!ワン!ワン!』
私は急いで2階から玄関に駆け下りました。
私が玄関に来たときに丁度お母さんが入ってくるところでした。
『お母さん、おかえりなさい』
『お父さんも一緒でしょ?』
私はお母さんに尋ねました。
しかし、いつもなら私に優しい声をかけてくれるお母さんは、何も言いませんでした。
お母さんに続いてお姉ちゃんと旦那さんが入ってきました。
やはり二人とも私に声をかけてくれません。
お母さんが、
「こちらにお願いします」
と知らない人に言っているのが聞こえました。
私の知らない2人の人が何かを抱えて入ってきました。
『ワン!ワン!ガルール!』
私は知らない人に激しく吠えました。
「ミワ!吠えてはダメ!」
お姉さんが、私の頭を優しく撫ぜながら言いました。
私は吠えるのを止めて二人が部屋に入るのを座って見つめました。
『うん!確かにお父さんの匂いがする』
私は懐かしいお父さんの匂いがするのに気づきました。
私は、二人の後から部屋の中に入りました。
「こちらに安置させてもらいますが、よろしいですか?」
「お願いします」
お母さんは頭を下げて二人に言いました。
布団がそこに下ろされました。
二人は部屋を出て行きました。
『この中からお父さんの匂いがする』
私は布団に近寄りました。
『やっぱりお父さんの匂い!』
私が布団の中を覗き込むと、お父さんが寝ていました。
『お父さんこんなところに隠れていたのですか?』
『私探しまわりましたよ』
『お父さん!』
『クゥーン、クゥーン』
続く
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